オルゴール業界には、独特の曲の分類があります。
正直なところ、専門用語みたいなもので分かりにくいのですが、昔から慣例として使っている店がほとんどです。
今からそれぞれの分類(名称の違い)を説明していきたいと思います。
在庫曲
各オルゴール販売店が在庫で抱えている曲。通常は数曲~最大でも300曲程度だと思われます。
手前味噌ですが、当店の在庫曲は300曲以上で、日本最大級だと思います。
最初から作ることを前提の手作りメーカー直営店などは、こういう名称を使わない場合もあります。
↑こういった感じで、曲を選ぶことが出来るオルゴール販売店は大量の在庫を抱えながら運営しています。
安いものになると、50個ぐらいからが最低ロットなので、スペースの確保が結構大変です……。
既存曲
編曲済みの曲という意味ですが、基本的には、「取り寄せ品」もしくは「注文があれば作れる曲」と解釈すればよいと思います。
当店では、18弁は手作り製作メーカーに頼んで作ってもらい、それ以上になると、基本的に日本電産サンキョーもしくは代理店などからの取り寄せになります。手配料や製作料として、だいたい2000円程度~がかかります。
現在、一般的に公開されている編曲リストは3000曲程度といわれています。
実は、このリストの大元はメーカー(サンキョー)のものなので、各社でほぼ共通です。「こっちで駄目だったからこっちで聞いてみよう!」とやってみても、見つかる確率は低いです。
3000曲というと多いように思いますが、音楽配信サイトの曲の数と比べてみますと、『アップル・ミュージック』などは4000万曲をうたっています。
膨大な
Apple Musicのカタログにある4,000万曲も、あなたのiTunesライブラリにあるコレクション全体も、すべて思いのままに楽しめ ます。
オルゴールの編曲は桁違いに少ないのです。そのため、「あの有名な○○さんの曲がないんですか!?」みたいに言われてしまうこともあります。どうしてもの場合は、後述の新規編曲しかありません。
リストに入っていない場合は、だいたい無理ですが、メーカーに直接聞いてみると、ヒューマンエラーで入ってないだけの場合も稀にあります。
新曲
二つの意味があります。在庫として新規に入った曲。もしくは、メーカーの編曲リスト(既存曲リスト)に新しく加わった曲です。
当店などの小売店は前者、メーカー直営店などは後者の場合が多いです。
新規編曲
その名の通り、新しく編曲してもらうこと。自分が気に入った曲が既存曲になかった場合は、これぐらいしか手がないです。当店ではサンキョーもしくは手作りメーカーに編曲を依頼しますが、施設によってはメカを作る機械を持っているので、18弁ぐらいなら自分達で作ってしまうところもあります。
通常3000円ぐらいで買えるオルゴールが総額十倍以上になってしまったり、編曲料はとても高いです。基本的に、その編曲が出来上がったら、他の人も利用できるようになります。
また、諸事情により編曲自体を断られる場合もあります。JASRAC管理曲ならほぼ大丈夫ですが、JASRACが提携しているだけの他の国の曲はそうもいかないようです。
特に韓国の曲は日本とは契約の意識が違いすぎて難しい面があるようで、個人では、ほぼ断られます。
単純に考えるとコストに見合わないので、学校もしくは団体用でのご依頼が多いです。個人では曲に強い思い入れのある方が依頼されます。
料金は新規編曲のページでご確認ください。
団体用料金はこちら。
クローズ曲
編曲の際、編曲を他者に公開しない、利用出来ないように契約してある曲。ただし、クローズ曲にしたくても『民謡など公共性の高いもの』は長期契約は出来ない、もしくは難しいようです。また、自身で著作権を管理している曲でもない限り、少しだけ編曲を変えて新しく作られてしまったりするので、あんまり意味はないかもしれません。
当店ではクローズでお願いされることがほぼないので、詳しくないのですが、クローズにすると余分にお金がかかったと思います。
グッズとして販売されている商品に入っている曲でも「既存曲でありますよね?」と聞いても、「クローズ曲なので無理です」といって断られてしまう場合があります。
A編曲、B編曲……
諸事情により同じ規格でも複数の編曲を持っている曲があります。
例えば、18弁のカノンAは導入部分、カノンBはサビの部分といった感じです。
(あれ?覚えている感じと違う)と思ったときは、他の編曲に聞き覚えがあるのかもしれませんね。
サンキョーは独自の曲番号を持っているので、それを利用するのが一番ですが、販売店側が曲番号をよく分かっていない場合も多いという困った問題があります(サンキョーの試聴ページにも載ってない場合があるので、私達もビックリするときがあります)。